同僚の歯が抜けた
会社で同僚と立ち話をしていたんです。
仕事がメチャクチャ忙しいらしいので、ちょっと心配になって声をかけました。
私:商売忙しいらしいなあ。まあ、あんたやったら絶対商談取れるで!
知らんけど。
彼:アハハ! 知らんけどって、大阪のおばちゃんの常套句やな。
雑談してると、同僚の前歯(本人に向かって右上)が1本足りないことに気が付きました。
その歯どないしたん?
「やっと乳歯が抜けてん」 彼は嬉しそうにいいました。ほっとしたような表情も見えました。
54歳にもなったら長年の酷使で歯も悪くなるわなー。
そやけど。。。
54歳で乳歯?
乳歯が抜けた?
54歳で?
ホンマに乳歯か?
子供やあるまいし50歳過ぎまで乳歯が残ってたこと自体信じられへん!
見た目は大人で歯は子供?(コナン君ではありません)
「見た目は大人で、頭脳は子供」ではありませんので、念のために申し添えます。
よくよく聞いてみると、10年くらい前に歯科検診を受けた時に歯科医が教えてくれたとのこと。歯科医のところへ行くのが嫌いで、40歳過ぎまで行かなかったそうです。
それまでの歯科検診では乳歯の話題は出なかったようです。
まあ、乳歯があっても噛むことに何の不自由もないし、鏡で口を見たときに少し歯が小さめであること以外は何の問題ない。
歯が小さめといっても気づく人はいなかったとのことです。
いつ乳歯が抜けたのか聞いたら、1週間前の食事中とのこと。
痛かったやろ?と聞くとほんの一瞬のことで、出血はなく、抜けた後の痛みもなし。
それを聞くと子供の頃の乳歯が抜けたときの感覚を何となく思い出して妙に納得しました。
抜ける2〜3週間前から乳歯がグラグラしていたので早く抜けてくれー!と思ってたけど、なかなか抜けず、自分で抜くのは怖かったそうです。ええトシして!
自分で抜いたら、痛いかも!血がドバッとでるかも!そう考えると自分で抜く気になれなかったとか。怖がり!
歯科医へ行く手もあるが、歯科医へ行くのが嫌いなので行かなかった。50歳過ぎても、あのウイーン!という機械音は怖いんやね。情けない。
家で奥さんから、歯科医へ行くことを薦められたらしいですが、彼は屁理屈こねて行かなかったそうで、挙句の果てにこんな会話になったらしい。
彼 :(悲壮感を漂わせる芝居で)歯科医へ行けというけど仕事が忙しいんや。行かれへんねん。人ごとやと思って!
彼の妻:(ニヤニヤしながら)人ごとって漢字で「他人事」って書くのん知ってる?
私はあんたの奥さんやでえ! 真剣に心配してるのになんで人ごとやねん!
そばにいる冗談好きの娘が割り込んできた。
彼の娘:(ニヤニヤしながら)もしかして、外に女の人がおってお母さんさんのことを他人にしようと思ってんのとちゃう? 正直に言うてみ? 怒れへんから。
この娘の母親なのだから、当然冗談が大好き。話を引っ掻き回しだした。
彼の娘:(ウキウキ顔で)外にいてるの? どんな人? 写真見せてー! キレイ?
なんで、乳歯の話が浮気に繋がんねん?
彼の妻:あっ、そうや! 浮気のお詫びとして、今日の夕食はレストランに連れてって!
彼:えっ? 本音はそこか! やられたー!
この騒ぎを収めるために彼は家族で外食へ出かけたそうだ。
大人乳歯とは
ある情報によると、大人なのに永久歯が生えず乳歯のままの歯のことを言って「大人乳歯」を持つ人は意外と多く、自分が「大人乳歯」保持者であることを知るのは歯科医による歯の健診を受けたときが多いそうです。
大人になってからは、何本抜けたかを覚えている人は多くないと思います。
「大人乳歯」は乳歯なので永久歯よりも小さいです。しかし、日常生活では全く気になりませんし、とくに不自由を感じるものではありません。
永久歯が生えない理由としては、永久歯が生えない状態のことを「先天性欠如歯」と言って、生まれながらにして永久歯の芽に当たる「歯胚」がないのだそうです。
一般的には、歯胚が成長した永久歯の頭の部分(歯冠)が乳歯の根を溶かしていくことで乳歯が抜けるのですが、歯胚がないので永久歯に生え変わることができないのです。
日本小児歯科学会が2007~08年度の2年間に調査した結果があります。
日本各地の7歳以上の約1万5千人(男子約7500人、女子約8千人)を対象に調査したもので、調査結果によると、永久歯のうち何らかの原因で生まれつき1本以上の歯がない先天性欠如の子どもは「10人に1人」です。
おじさんになっても、乳歯を大切にすれば結構長持ちするそうです。54歳で残ってる人がいるのですから、間違いないでしょうね。でも、大切に日頃の手入れは怠らないことが必要でしょう。
「先天性欠如歯」の原因は分かっていないそうで、治すことはできないそうです。
とにかく乳歯が抜けるまでは大事にして、もし乳歯が抜けたら、入れ歯にするか、大人の場合は抜けたところにブリッジを入れるか、インプラントを埋めるなどの方法を選択することになります。
したたかなヤツ
彼(同僚)は、若い頃から人当りがよくて仕事ができるので、社内でも顧客からも信頼が厚いんです。だからすごく忙しい。乳歯が抜けたあとの治療のために歯科医へ行く時間も取れないんです。
でも、彼は歯抜けの状況を利用しています。
乳歯が抜けたところは、彼が笑うと非常に目立ちます。
そして、顧客先で彼の口元を初めて見る人は男性も女性も最初はビックリするけど、みんな彼をいじって楽しむんです。
そしたら、顧客との交流が円滑になって商談を進めるチャンスが増えてきました。
歯が抜けたあとは更に忙しくなってるけど、彼の顔と言葉には充実感が満ち溢れています。
しっかり儲けてや!!
使えるモンは何でも使うんやで!
あんたやったら絶対大丈夫! 知らんけど。